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ニカが思ったことを、高田純次並にテキトーに垂れ流す場所。
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 ロシアに居た頃、組織に居た頃。
 思い上がっていたわけじゃないけど、ニカは強かった。
 「血に飢えた狂犬」なんて呼ばれて、恐れられてた。

 でもそれは、強かったわけじゃないって、分かった。
 ニカは言われた通りにしていただけ。

 捕らえろと言われれば捕らえ、殺せといわれれば殺した。
 誰が正しくて誰が間違ってるかなんて、何も分からなかった。
 何も考えたくなかった、考えられなかった。


 灼滅者としてのニカは、酷く無力だって分かった。
 周りの皆はどんどん強くなっていった。
 誰かを守りたいって言うキモチ、助けたいってキモチ。
 ニカが知らないキモチを、持っていたから――。

 感じない、哀しいってなに?憎いってなに?
 壊れたココロでは、誰も救えない。
 誰も愛せない。愛されない。
 役立たずの、ジャンク。



教室で見つけた、一・葉氏の救助依頼を空ろな眼で
見つめていたヴェロニカは、ぼそりと一言呟く。
 
「なんにも、見えない…。」







――1時間後


自宅裏に住む老人の元を訪れていたヴェロニカは
その腕に抱いた黒猫を託すと、深々と頭を下げた。

「どれくらい預かればいいのかね?」

ヴェロニカは答えなかった。
老人が聞き返すことも無かった。
ただ一瞬、何も映さない深い海色の瞳が揺れた。

老人は穏やかに微笑むと、黒猫を撫でる。
「ニカ坊、わしはここで帰りを待っておるよ。こいつもな。」



ゆっくり瞬きをひとつすると、ヴェロニカは背を向け歩き出した。



雪のように白い髪が、夜の闇に解けた。
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ヴェロニカ・セヴァスチヤノフ
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